私がかかった病気の名前は「顔面神経麻痺」という病気でした。
症状の始まりから病名の判明まで
当時、私は3交代勤務の物流倉庫で玉掛け作業や天井クレーンの運転手をしていました。
妻は介護施設でパートで働いてくれています。
2022年、年始の夜勤中に症状が現れはじめ、自分で気が付いた時には、顔の半分が垂れ下がり、口も半開きのまま閉じる事ができず、片目は完全に塞がってしまっている状況でした。その時はなぜか、何日かすれば元に戻るだろう。と簡単に思っていたのですが、三日程立ってもそのままの状態だったので、病院に行くことにしました。
どの病院の何科に行けば良いのか見当もつかないので、ひとまず一番近くの大きい総合病院に妻に連れて行ってもらいました。受付の方に。
「脳神経外科ですかね?」
と言われて驚きました。
そのあとは色々な機械で検査が始まり、内心ドキドキでしたが、MRI検査は初めてだったので、なぜか少しワクワクもしていました。医師の方に、
「寝ててもいいよ~。」
と言われましたが、もの凄く大きな音でとても眠れなかった。
その後、結果発表の時間でしたが、
「原因、病名が分からなので耳鼻科咽喉科に行って下さい。」
と言われたので、私が、
「耳や鼻には全く違和感とか無いんですが、耳鼻科ですか?」
と聞くと、医師が、
「耳鼻科です!」
と、自身満々に言うので、また近くの耳鼻咽喉科に紹介状を書いていただき、その日のうちに向かうことになりました。
診察中車の中で待っていた妻に、
「なんかわからんから耳鼻科行けって言われた~。」
と、伝えると、妻も、
「耳鼻科~?なんで?」
と、不思議そうでしたが、文句も言わずに近くの耳鼻科まで連れていってくれました。
耳鼻科に到着して診察が始まるとすぐに耳鼻科の医師が、
「うちじゃ見れないから大きい病院に行ってもらう!紹介状すぐに書くからどっちの病院にする?」
と、急な2択で驚きましたが、妻に連れて行ってもらうので出来るだけ近い方でお願いしました。
私が耳鼻科に入って出て来るまで早かったので、妻が
「早かったやん。」
と、ほっとした顔で言いましたが、私が、
「またちゃうとこ行けって言われた~。」
と、言うと少し不安そうな顔になったのが記憶に残っています。
次の大きな病院でも色々な検査をして、診察室に入ってすぐに、
「顔面神経麻痺と言いう病気なので、すぐに1週間入院してください。」
と、言われて驚きました。私が、
「仕事や家庭のこともあるので少し待っていただけませんか?」
と言うと、医師が、
「1日でも遅くなると、顔の形が元に戻らない可能性が上がりますがどうしますか?」
と言うので、元々そんなに良い形の顔では無かったのですが、諦めて家族と勤務先に相談し、入院する事になりました。
この時妻は顔色一つ変えず、淡々と話を聞いて、入院の準備をしてくれていました。
「えらい落ち着いとるやん。」
と、私が妻に言うと、
「どうせせなあかんねんから。」
と、淡々と…
私や息子たちを不安にさせない為に無理して強がっていた事は退院した後で聞きました。
なんて男らしい妻なのか。
入院生活
入院中は、新型コロナウイルスが流行していたので、誰とも面会できず、退屈な1週間でしたが、着替えを持って来てもらう時だけ、5分間程の会話が許されていました。
愛妻家の私にとっては、有難い時間だった。
ただ、息子達と1週間会えないのは寂しかった。妻には何も言わなかったが、妻は察したのだろう、息子たちに手紙を書かせて持って来てくれました。その手紙を読んで、夜中に一人で涙を流したことは、今でも誰にも言っていません。内緒です。
その時に貰った手紙は、今でも枕元に隠して大事に置いています。それも内緒です。
4人部屋でしたが、仕切りのカーテンを開ける事が禁止になっていたので、退院するまで顔を合わせる事もありませんでしたが、1人、看護師に必死になって連絡先を聞いているお兄さんがいました。
私が退院する日まで交渉は続いていたので、結果はわかりませんが、とにかく必死に交渉していたので、聞いている方は面白かったです。
1人いびきの凄い方がいて、夜は全く眠れなかった。同一人物かもしれない…
退院~通院生活
退院の日、コロナウイルスの都合で通院は月に1回、処方箋は1か月分と説明を受けました。
入院の1週間ではあまり治療の効果は出ていなかったので、車の運転が出来なかった私には助かりました。妻にパートのシフトを調整してもらって、病院まで連れて行ってもらう生活が、数か月続きました。
この辺りから妻はパートの時間を少し増やして働いてくれていました。
私は少しずつ家事をしながら自宅療養中です。
夫婦の役割を交代
春になって、医師から
「もう治っているので、通院の必要はない。」
と、言われたが、治っているのか?これは後遺症なのか?
・日が強く差す場所では、右目が開けられない…
・物との距離感がつかみにくい…
・平衡感覚が依然とは少し違うので、何もない場所でつまづく…
・天候が不安定な時は、右の肩から上は鈍痛…
あとは、前より少し顔が不細工になった気がする。これについては、元からと言われるが…
すぐに元通りに治る見込みもなく、現状を考えると、玉掛け作業やクレーンの運転なんか続けていられる状況ではなく、事故を起こす前に退職し、他の事を始めようと思っている事を妻に相談すると、
「私が正社員になって働くから、家の事しながらゆっくり治しなさい。」
と、言ってくれました。なんて男らしい妻なのか。
その話をした後1月も経たない位で、妻は別の介護施設で正社員として働いてくれています。
なんて行動力のある妻なのか。
妻に申し訳なく、何より自分が情けない…
それから、私の専業主夫生活が始まりました。
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